オーストラリア東部、ブリスベーン空港から車で約1時間半北上すると、クイーンズランド州ユードローの町に着く。駅前には郵便局と、よろず屋が1軒あるのみ。車で数分行くと、広大な土地で悠然と草をはむ馬や牛たちが姿を現した。
ユーカリ林を抜け、坂道をしばらくのぼると、「WHISPERRING TREES」と書かれた木の看板がある。この小高い山の上に、不定期民宿「ささやく樹」を経営するデジャーデン由香理さん(42)一家の住まいがある。ご主人のアーノーさん(44)が改築した自宅は、天井が高く開放的で心地よい。プールやジャグジーもあり、リゾートホテルのようだ。
だが、最も驚くのは、バルコニーからの眺め。見渡す限りの森が地平線まで広がる。ここで由香理さんは循環型の暮らしをデザインし、つくり上げた。まず約6000坪の敷地を大きく3つに分け、自宅近くに菜園、その先にパパイア、バナナなどの果樹や穀類のエリア、さらに奥に自然保護区を設けた。
生きるために必要な水はすべて「雨水」でまかなう。乾燥した気候のオーストラリアでは、水の確保が生命線でもある。上下水道のない由香理さん宅では、雨水をタンクに貯蔵し、飲用や生活用水として利用しているが、それはこの地域一帯の空気が汚染されていないからこそ可能なこと。
トイレや生活排水は敷地内の浄化層に一度集められた後、傾斜地に張り巡らせた地下パイプを通って地下に散水される。水は重力で下へと流れて、やがて果樹や森を潤していく。豊かな森は清浄な空気を大気中にもたらし、再び天から降る雨となって自分たちの元に直接、還(かえ)ってくる。「わが家では自分たちの暮らしから出た排水は一滴ももらさず再利用しています。また、山の上に住んでいるので特に排水に気を使います」と語る由香理さん。
ここでは、自分たちの日々の小さな営みと環境とのつながりを誰しも実感するという。天と地と人が“ひとつ”であることを呼び覚ます暮らし。夜明けの森では、澄み渡る空気の中、日の出を告げる動物たちの声が一斉に響き渡っていた。
(ホリスティックライフ研究家 心理セラピスト村松さと子)
MSN産経ニュース
かっこいい生活だなぁ
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