2009年2月11日水曜日

看板が撤去

昨年1年間、交通事故で死亡した人は全国で5155人だった。8年連続の減少と数字ばかりが注目されがちだが、この中には、日常に潜む死角を察知して対策を講じていれば、避けられたと思われる事故が少なくない。実際の例をもとに現場の死角を検証する。(文化部 北村理)
 神奈川県南足柄市丁字路の県道で昨年11月の夕刻、4歳の女児が79歳の男性が運転する軽トラックにひかれ死亡した。
 現場は江戸時代の宿場町の面影をそこかしこに残す旧街道で、直線で見通しがよい。ドライバーにとって一見、死角はなさそうだ。だが地元からすれば、近くに通学路があるのに横断歩道はあっても信号はない、登下校以外には交通安全指導員はおらず、危険が予知できた場所だった。
 事故後、市や県警ではパトロールを強化。高齢者の運転への注意や児童の通行の安全を呼びかけ、現場の注意喚起のために、カラー舗装にするなどの対策をとった。
 地元自治会は信号機の設置を求め、市に要望書を提出した。被害者の家族も市側に強く要望した。ただ、信号機を設置するのは神奈川県。要望書を提出した市は「県内全域から設置要望があり、設置はいつになるかは見当がつかない」とため息をつく。
 事故から約2カ月がたち、「死亡事故あり」と書かれた看板が撤去された。地元住民は「子供が手を挙げても、多くの車は止まろうとしない」と不安を口にする。「事故が忘れ去られたかのように、その後も現場ではヒヤリが何件かあったようです」とも。


 昨年11月下旬の朝、東京都練馬区西大泉の交差点で、自転車に乗っていた保育所補助員の女性(52)が同じように左折してきたトラックに巻き込まれ、即死した。信号はあり、ふだんは死角として認識されていないが、交差点を左折したところからガードレールがなくなり、歩行者や自転車の危険度は増す。片側1車線で乗用車がやっと行きかうことのできる交差点に、今回、14トンのトラックが左折したことで死角は現実のものとなった。
 この現場でも事故後、交差点のカーブが緑色に舗装された。そして痛ましい死亡事故によって現場に潜んでいる死角が認識されたはずなのに、それでもノンストップで交差点を左折する自転車は今も少なくない。
 5155件の死亡事故からは「ここが危険」という教訓を得られるものも少なくないはずだ。
 松浦常夫・実践女子大教授(交通心理学)は「危険個所は現場の形状を変えない限り、危険個所として残る。危険を知らせる工夫をするしかないのだが、それは信号に限らず手段がある。地元住民と行政、警察が継続的に話し合い、最善策を模索していくべきだ」と話している。

MSN産経ニュース

ヒヤリって正式用語なの?

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